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マンボウ属の掃除魚の再検討:静岡県大瀬崎で確認された新しい掃除魚

澤井悦郎・相原岳弘

Abstract / Introduction / Summary:

フグ目マンボウ科Molidae マンボウ属Mola はクライアントとして,様々なクリーナー(掃除魚) と掃除共生関係をもっている(例えば,Gotshall, 1967;Konow et al., 2006;Thys et al., 2017).しかし,マンボウ属各種[マンボウMola mola (Linnaeus, 1758), ウシマンボウMola alexandrini (Ranzani, 1834),カクレマンボウMola tecta Nyegaard et al., 2017]がそれぞれ何種のクリーナーと掃除共生関係をもっているのかについては,全体像が把握されていない. 静岡県大瀬崎では,スキューバーダイバーの間でチョウチョウウオ科Chaetodontidae シラコダイChaetodon nippon Steindachner and Döderlein, 1883 がマンボウを掃除することがよく知られており,著者らは大瀬崎における両種の掃除共生について,動画共有サイトYouTube の動画を元にした詳しい調査を行ってきた( 澤井・相原, 2024a–b).その調査の中で,シラコダイによるウシマンボウへの掃除,イシダイ科Oplegnathidae イシダイOplegnathus fasciatus (Temminck & Schlegel, 1844) によるマンボウへの掃除も確認された.これまで文献上で知られているマンボウ属のクリーナーを総合的に調査した結果,それら2 つの掃除は本研究で初めて確認されたことが分かったため,その詳細をここに報告する.