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鹿児島湾喜入のマングローブ林干潟において破壊された干潟表面に生息する巻き貝相の12年間の回復過程の分析

平元千晴・冨山清升

Abstract / Introduction / Summary:

鹿児島県鹿児島市喜入町愛宕川支流河口干潟である喜入干潟において,2010年の防災道路整備事業による干潟破壊が巻貝類の生活史にどのような影響を与えているかを約10年間にわたって追跡調査してきた.本研究では,過去の報告と比較し,整備事業が開始されてから約11年間の干潟表面の巻き貝相の変化を考察した.干潟の環境破壊は,現在でも貝類たちの生態に悪影響を与えており,今後,ウミニナとヘナタリは喜入干潟で絶滅する可能性も否定できない.しかし,過去の総個体数の推移と比較すると,徐々にではあるが干潟を回復させていることも示唆されており,これらの要因によって今後個体数が減少する一方ではなく,生態が回復するためのきっかけになる可能性もゼロではないと考えられた.