アシナガキアリ Anoplolepis glacilipes (F. Smith, 1857) は,明確な原産地は不明であるが,アフリカもしくは熱帯アジア起源とされ,現在は世界中の熱帯・亜熱帯と北米の温暖な地域に広く分布している(Wetterer, 2005).本種は IUCN(国際自然保護連合)により侵略的外来種ワースト 100 に指定されおり,国外では高い採餌能力と攻撃性による他種のアリとの競合や駆逐,捕食などによる他の動物への悪影響が報告されている.特にセイシェル諸島では,鳥類・爬虫類などの繁殖を妨げるなど生態系に甚大な影響を与えている(Haines et al., 1994).日本においてアシナガキアリは,南西諸島に広く分布し,北限は鹿児島県のトカラ列島南端に位置する宝島である(山根ほか,1999;山根・福元,2017).これまで日本本土でも温室や動物園な ど で 散 発 的 に 発 見 さ れ て い る( 寺 山 ほ か,2014).世界的レベルでは侵略的外来種に指定されているが,国内で特定外来生物には指定されていない.沖縄島与那の林道沿いでの 1 年を通じた調査においては,本種は採餌活動,生態的優占度のいずれにおいても第 3 位に位置した(Suwabe et al., 2009)が,南西諸島では競争や捕食により他種を駆逐するなど目立った事例は報告されていない.アシナガキアリの侵入が確認された鹿児島市内に位置する 2 つの港は,奄美群島や琉球諸島を経由する大型フェリーや貨物船の発着港で,年間を通じてコンテナによって多量の物資が流通している.両港とも侵入したアシナガキアリはおそらくコンテナあるいはコンテナ内の物資に紛れ込んで運搬されたものと考えられる.今回,私たちは鹿児島県本土で初めて侵入が確認されたアシナガキアリのコロニーの駆除を鹿児島県環境林務部自然保護課の職員とともに行った.

鹿児島県本土で初確認された侵略的外来種アシナガキアリ(原田豊・細石真吾・山根正気)