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鹿児島県薩摩半島から得られたヒメツバメウオ

出羽尚子・中村潤平・藤井琢磨・是枝伶旺・渡部泰斗・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

ヒメツバメウオMonodactylus argenteus (Linnaeus, 1758) はスズキ目ヒメツバメウオ科に属し,成魚は内湾や汽水域,幼魚は汽水域や淡水域に生息することが知られている(波戸岡,2013).本種はインド・西太平洋に分布し,国内では主に大隅諸島や琉球列島に分布するが(波戸岡,2013;吉郷,2014;木村ほか,2017;萬代,2019),千葉県,神奈川県,和歌山県,高知県,および宮崎県など九州以北の太平洋沿岸地域からも散発的に本種の小型個体が報告されている(山本ほか,2000;山川ほか,2017; Iwatsuki et al., 2017;楫・脇本,2019;三木,2021;本村,2022).2021年12月に薩摩半島南岸の枕崎市で本種1個体が採集され,かごしま水族館で飼育されている(2022年12月現在).さらに,2022年6月から11月にかけて薩摩半島南岸の南さつま市坊津町と南九州市頴娃町にて合計8 個体のヒメツバメウオが採集された.本種は鹿児島県本土においては2003年度版鹿児島県レッドデータブックに「薩摩地方が分布北限」との記述があり(米沢,2003),大分県から鹿児島県大隅半島太平洋沿岸地域までの日向灘地域の魚類目録であるIwatsuki et al. (2017) において本種がリストされているが,両文献において地名などの情報は明記されておらず,これまで標本や写真に基づく本種の鹿児島県本土からの確実な分布記録は知られていない.そこで,上述の9 個体を鹿児島県本土における標本と生体に基づくヒメツバメウオの確かな記録としてここに報告する.