平島から得られた標本に基づくトカラ列島初記録のヒゲニジギンポ

ニジギンポ族(Nemophini)は底生生活をおこなう種が多いイソギンポ科魚類の中で,鰾を有し遊泳生活をおくることが知られており,世界の暖海に5属50種以上が知られている(村瀬,2018).ヒゲニジギンポ属Meiacanthusはインド・西太平洋から28種が知られており(Smith-Vaniz and Allen, 2011),日本国内からはオウゴンニジギンポMeiacanthus atrodorsalis (Günther , 1877),サツキギンポMeiacanthus ditrema Smith-Vaniz, 1976,ヒゲニジギンポMeiacanthus grammistes (Valenciennes, 1836),およびカモハラギンポMeiacanthus kamoharai Tomiyama, 1956の4種が記録されている(藍澤・土居内,2013).このうちヒゲニジギンポM. grammistesは,比較的飼育が容易なため観賞魚として人気が高く(森岡・水谷,2006),飼育環境における産卵と育成の知見も蓄積されている(鈴木ほか,2006).鹿児島県内のヒゲニジギンポの標本に基づく記録は,奄美大島と徳之島からの報告のみにとどまる(Nakae et al., 2018; Mochida and Motomura, 2018). 2019年3月24日にトカラ列島平島東之浜港から1個体のヒゲニジギンポが採集された.記載標本は本種のトカラ列島における標本に基づく初めての記録となるため,ここに報告する.