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カタクチイワシ科魚類タイワンアイノコイワシの志布志湾からの確かな記録

畑 晴陵・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

カタクチイワシ科タイワンアイノコイワシ属魚類Encrasicholinaは,尾鰭が二叉型であること,腹鰭の前方にのみ稜鱗を有し,背鰭前方と腹鰭後方には稜鱗を欠くこと,尾舌骨が露出し,鰓膜と峡部筋肉を隔てることなどで特徴付けられ(Whitehead et al., 1988; Wongratana et al., 1999),世界で9種が知られる(Whitehead et al., 1988; Hata and Motomura, 2015, 2016a, b; 2017a).このうち日本からはシロガネアイノコイワシE. heteroloba (Rüppell, 1837),ミズスルルE. pseudoheteroloba (Hardenberg, 1933),タイワンアイノコイワシE. punctifer Fowler, 1938の3種が知られ(畑ほか,2012;青沼・柳下,2013; Hata and Motomura, 2016b),鹿児島県においてはこれら全ての種の分布が標本に基づき確認されている(畑・本村,2011, 2017b, c;畑,2017, 2018a, b; Nakae et al., 2018). 鹿児島県本土における魚類相調査の過程で志布志湾南岸に位置する高山町の沖合から1個体のタイワンアイノコイワシが得られた.本標本は志布志湾における本種の標本に基づく確かな記録となるため,ここに報告する.