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奄美大島から得られたヒフキアイゴSiganus (Lo) unimaculatusの標本に基づく北限記録

小枝圭太・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

アイゴ科にはアイゴ属 Siganus のみが知られ (Woodland, 1990),日本近海からは 13 種が記録 されている(島田,2013).本属は吻が著しく突 出する Lo 亜属とそうでない Siganus 亜属に分け られ(Beaufort and Chapman, 1951; Woodland, 1990), 日本近海に分布する Lo 亜属としてはヒフキアイ ゴ Siganus (Lo) unimaculatus (Evermann and Seale, 1907) のみが知られる(島田,2013).これまで ヒフキアイゴは日本国内において小笠原諸島,沖 縄諸島以南の琉球列島,ならびに南大東島から記 録されていた(島田,2013).Woodland (1990) は 益田ほか(1972)を引用し,奄美大島を本種の分 布域に含めているが,益田ほか(1972)では,本 種の分布を奄美大島以南としているのみであり, その根拠となる標本は示されていない.したがっ て,これまで本種の鹿児島県における標本に基づ く記録はなかった. 2015 年 5 月に鹿児島県奄美大島瀬戸内町沖に おいてヒフキアイゴ 2 個体が採集された.本標本 は鹿児島県ならびに薩南諸島における本種の標本 に基づく初めての記録となるとともに,分布の北 限を更新する記録となるため,ここに報告する.