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奄美大島から得られたイトヨリダイ科魚類タマガシラParascolopsis inermis

畑 晴陵・中江雅典・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

イトヨリダイ科タマガシラ属(Nemipteridae: Parascolopsis)は両顎歯が小円錐歯のみで構成さ れて犬歯状歯がないこと,臀鰭第 2 棘が第 3 棘よ りも長くて太いこと,体長が体高の 2.5–3.0 倍で あること,頬部鱗が 4–5 列であること,眼下骨縁 辺が鋸歯状で,大きな棘をもたないこと,背鰭前 方被鱗域の先端が眼の中央に達することなどの特 徴をもつ(Russell, 1990, 2001).日本からはアカ タマガシラ P. eriomma Jordan and Richardson, 1909, タマガシラP. inermis Temminck and Schlegel, 1843, お よ び キ ス ジ タ マ ガ シ ラ P. tosensis Kamohara, 1938 の 3 種 が 知 ら れ て い る( 藍 澤・ 土 居 内, 2013). そのうち,タマガシラは南日本に広く分布す るが(藍澤・土居内,2013),本種の奄美大島に おける記録は,藤山(2004)による,写真に基づ く報告のみであった.2015 年 7 月 23 日に奄美大 島北方で 1 個体のタマガシラが採集された.本標 本は奄美群島における本種の標本に基づく初めて の記録となるため,ここに報告する.