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奄美大島から得られたイトヨリダイ科魚類ヤクシマキツネウオPentapodus aureofasciatus

畑 晴陵・山田守彦・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

イトヨリダイ科キツネウオ属 Pentapodus は上 顎先端に 2–3 対の犬歯を有すること,下顎先端の 側部に大きな犬歯を 1 対そなえること,臀鰭第 2 棘は第 3 棘より短く,弱いこと,体長は体高の 3.0–3.5 倍であること,眼窩骨の縁辺と前鰓蓋骨 の下縁に鋸歯がないこと前鰓蓋骨に 4–6 列の鱗を 有すること,および背鰭前方鱗被鱗域前端が眼窩 の前端を超えることなどの特徴をもち(Russell, 2001a), 日 本 か ら は ヤ ク シ マ キ ツ ネ ウ オ P. aureofasciatus Russell, 2001,キツネウオ P. caninus (Cuvier, 1830), イ ト タ マ ガ シ ラ P. nagasakiensis (Tanaka, 1915) の 3 種が知られる(藍澤・土居内, 2013). ヤクシマキツネウオはこれまで国内において 高知県大月,鹿児島県大隅諸島屋久島・黒島,お よび沖縄島からのみ標本に基づき記録されていた (藍澤・土居内,2013).2015 年 7 月に奄美大島 から 1 個体のヤクシマキツネウオが採集された. 本標本は奄美群島における本種の標本に基づく初 めての記録となるため,ここに報告する.