鹿児島県の大隅諸島と宇治・草垣群島の間に 位置する黒島・硫黄島・竹島は,別名上三島,口 ノ三島とも呼ばれ,行政的には鹿児島郡三島村に 属する(Fig. 1).これら 3 島の昆虫相は 1980 年 代から鹿児島県立博物館により調査されてきたが (例えば,中峯ほか,2007),全てのグループを網 羅した目録は発表されていない.2006 年 6 月 29 日に三島村昆虫保護条例が制定され,昆虫のサン プリングには許可が必要となった. アリ類については,1999 年までの記録が山根 ほか(1999)によってまとめられている.これに よると当時知られていたのはエラブアシナガアリ Aphaenogaster erabu Nishizono and Yamane(黒島) とイソアシナガアリA. osimensis Teranishi(硫黄島, 黒島)の 2 種のみであった(ただし文献の見落と しがある).2005–07 年の 3 年にわたって鹿児島 女子短期大学・南九州地域科学研究所は上三島 3 島の有剣膜翅目相の調査を実施し,18 種のアリ を記録した(Ikudome and Yamane, 2009). 2011–12 年に鹿児島大学総合研究博物館は 3 島 すべてでアリ類の分布・生態調査を実施した.こ の調査には,著者の福元,Jaitrong のほか河野太 祐(鹿児島大学理学部学生),インドネシア人留 学生 Rijal Satria(鹿児島大学大学院理工学研究科) が参加した.本報告では,過去の文献上の記録を 精査するとともに,鹿児島大学理学部の SKY コ レクション所蔵の標本と 2012 年の調査結果を加 えて,上三島のアリ相を総合的に検討した.なお, 生態学的調査の結果は稿を改めて報告の予定であ る.

鹿児島県黒島・硫黄島・竹島のアリ相(福元しげ子・Weeyawat Jaitrong・山根正気)