カヤネズミ(Micromys minutus)はネズミ目ネ ズミ科に属する日本で最小のネズミ(写真 1)で, 主に,畑や水田などの耕作地,休耕地,沼沢地, 河川敷などのイネ科植物が繁茂するカヤ場に生息 している.巣は植物の葉を巧みに編みこんだソフ トボール状の球巣を作ることで知られる. 鹿児島県では,北薩地方の米ノ津川,大橋川, 川内川,竹子,大隅地方では肝属川,島嶼では屋 久島,口永良部島などに分布(鹿児島県,2003) が確認されているが,河川改修,農地改変や植生 遷移などによる生息地の消失,分断化によって絶 滅が危惧されており「鹿児島県の絶滅の恐れのあ る野生動植物 動物編」のカテゴリーにおいて絶 滅危惧 II 類に指定されている. カヤネズミの保全に向けた生息地および生息 環境の把握は急務となっているが,既存文献によ る本種の生息地は,イネ科の優占する草地・河川 敷・堤防・麦畑・水田・休耕田・沼沢地など土地 利用形態を示すものが多く,また,生息環境と密 接に関わる植生との関係についての報告(澤邊ほ か,2005;畠・夏原,2006)は少ない.このよう なことを背景に,本調査では,川内川河川敷に生 息するカヤネズミの営巣地周辺の植生を調査し, その特性を明らかにすることで,今後のカヤネズ ミ研究の基礎資料とすることを目的とする.

植生からみた川内川のカヤネズミ生息地(今吉努・鮫島正道)