Abstract / Introduction / Summary:
フグ目マンボウ科 Molidae マンボウ属 Mola の マンボウ Mola mola (Linnaeus, 1758) は水族館での 人気が非常に高く,例えば,山口県の下関市立し ものせき水族館が 2021 年 7 月 10–31 日に,フグ 目 10 種の投票選挙イベント「かわいい!しか勝 たん。ふぐ総選挙」を館内および SNS 上で行っ た結果,全 17,693 票中 3,296 票を取得してマンボ ウが 1 位になった(下関市立しものせき水族館, 2021;常井,2021).日本近海に出現するマンボ ウ 科 魚 類 は マ ン ボ ウ の 他 に, ヤ リ マ ン ボ ウ Masturus lanceolatus (Liénard, 1840),ウシマンボ ウ Mola alexandrini (Ranzani, 1839), ク サ ビ フ グ Ranzania laevis (Pennant, 1776) が知られている(波 戸岡・萩原,2013;澤井,2017). 2021 年 3 月 31 日に施設老朽化等の理由で営 業休止になった志摩マリンランドは,「マンボウ の泳ぐ水族館」として親しまれてきた三重県志摩 市にあった水族館である(澤井・杉山,2021). マンボウを含む志摩マリンランドで飼育されてい た生物の譲渡と引き継ぎは営業休止後に開始さ れ,2021 年秋ごろにすべての生物の移送を完了 する予定で進められている(中日新聞社,2021). 澤井・杉山(2021)は志摩マリンランドにおける マンボウ類の飼育の歴史をまとめ,希少なヤリマ ンボウの飼育記録を報告した.その後,志摩マリ ンランドによる資料整理の中で,マンボウ科(ヤ リマンボウ,ウシマンボウ)とコバンザメ科Echeneidae(ナガコバン属 Remora)の共生関係を 示す新たなデータが見つかったため,ここに詳細 を報告する.