鹿児島県長島で得られたハルマンスナモグリとブビエスナモグリおよび両種の蛍光

いわゆるスナモグリ類(ghost nipper/ghost shrimp)の上位分類はPoore et al. (2019) により近年大きく見直され,スナモグリ科Callianassidae Dana, 1852 に内包されていた複数亜科が科に昇格した( 例えば,リュウグウスナモグリ科Eucalliacidae Manning & Felder, 1991).現在,スナモグリ科は九州沿岸浅所において,ハルマンスナモグリNeotrypaea harmandi (Bouvier, 1901),ニホンスナモグリNeotrypaea japonica (Ortmann, 1891),スナモグリNeotrypaea petalura (Stimpson, 1860),およびブビエスナモグリParatrypaea bouvieri (Nobili, 1904)の4種が分布することが知られている(Sakai, 1969; 鈴木,2002;是枝,2020, 2023; 清水・是枝,2023など).

鹿児島県北西部に位置する長島町で,2023年5月3日に沿岸生物調査が行われた.その結果,長島北部に位置する北方崎港へ流入する細流の河口域からハルマンスナモグリとブビエスナモグリが,三船浦へ流入する細流の河口からはハルマンスナモグリのみが採集された.ハルマンスナモグリは日本国内において北海道から琉球列島に広く分布するが(大澤ほか,2014),本種はかつてニホンスナモグリの新参異名とされており(Manning and Tamaki, 1998),両種が混同されていた背景がある.鹿児島県においてもニホンスナモグリが広く分布するとされる一方でハルマンスナモグリの混同も示唆されており,分布の再検討が必要とされている(鈴木,2002).ブビエスナモグリは亜熱帯性種であり,九州以北においては四国の徳島県と高知県,宮崎県南部,熊本県天草,および鹿児島県(上甑島・下甑島・薩摩半島西岸~南岸・鹿児島湾)からの散発的な記録がある(清水・是枝,2023).本種は日本ベントス学会のレッドデータブックおよび環境省の海洋生物レッドリスト2017 において情報不足に指定されており(大澤,2012;環境省,2017),生息実態を把握する知見の集積が求められていた.したがって,本研究で得られた標本群は両種の長島における初記録であり,これらは両種の生息状況の把握の上で有益と考えられるため,ここに報告する.また,両種の生鮮標本には蛍光する特徴が見られたため,合わせて報告する.