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鹿児島湾におけるカヤノミカニモリ(腹足綱:オニノツノガイ科)の殻の内部成長線解析

林 佑香・尾花京佳・冨山清升

Abstract / Introduction / Summary:

鹿児島市の桜島袴腰海岸において,カヤノミカニモリClypeomorus bifasciata (G.B. Sowerby II, 1855)(盤足目:オニノツノガイ科)のサイズ頻度分布とカヤノミカニモリの内部成長線を観察し,サイズ頻度分布の季節変と比較することでカヤノミカニモリの生活史を明らかにした.2021年1月から2021年12月まで,毎月大潮時に潮間帯でサンプルを見つけ取り採集法で約50個体採取した.その結果,7–9月は内部成長線奇数本の割合が減少し,10–2月は奇数本が優占していたため,夏と冬の年に2回,明確な内部成長線が形成されることが分かった.つまり,夏の生殖活動と冬の気温低下により,殻形成に遅滞が生じ,年に2回明確な内部成長線が形成されると考えられた.本種の寿命に関しては,確認された内部成長線数は,最小値2本最大値7本であったため,年に2回内部成長線が形成されることを考慮すると,本種の寿命は4年弱と推測された.