内之浦湾から得られた鹿児島県初記録のオキイワシ

オキイワシ科Chirocentridaeはニシン目の1科であり,オキイワシChirocentrus dorab (Forsskål, 1775)と,Chirocentrus nudus Swainson, 1839の2種を含む(Whitehead, 1985).オキイワシ科魚類はニシン目魚類の中でも珍しい魚食性種であり,著しく伸長する細長い体や,牙状に発達した両顎歯を有するなど,ニシン目においても,独特の形態をもち,長らくその系統学的位置づけが不明であったが,近年,Pristigasteridae[ヒラIlisha elongata (Anonymous, 1830)などを含む]との類縁性が指摘されている(Egan et al., 2018).

オキイワシ科魚類は東南アジアにおいては多獲され,食用に供されるが(Kimura, 2011, 2013, 2018; Ishikawa, 2017),日本における記録は少なく,オキイワシのみが稀に報告されているに過ぎない(青沼・柳下,2013;畑ほか,2018). 2018年9月,大隅半島東岸に位置する内之浦湾において,1個体のオキイワシが採集された.本標本は本種の鹿児島県における初めての記録となるため,ここに報告する.