鹿児島県桜島袴腰海岸におけるアラレタマキビのサイズ頻度分布の季節変動

アラレタマキビNodilittorina radiata (Souleyet in Eydoux & Souleyet, 1852)はタマキビ科Littorinidaeに属する雌雄異体の巻貝である.アラレタマキビは潮間帯の飛沫帯に生息しており,晴天時には殻は乾燥して灰白色をしている.また雨天時には,雨水でできた水溜りの中に多く付着している.タマキビ科の中でもアラレタマキビの基礎生態に関する報告例は少ない.本研究では鹿児島県桜島の袴腰海岸において,アラレタマキビの殻長サイズ頻度分布を調べ,その季節変動から基本的生活史を明らかにすることを目的とした.調査は鹿児島県桜島の転石海岸である袴腰海岸で行った.2009年の1月から2009年の12月まで毎月一回大潮または中潮の日中の干潮時刻前後に同一の岩石の上で行った.毎回アラレタマキビを100個体以上採取し,ノギスで殻長を0.1 mm単位まで計測し,記録した.調査の結果,5月から9月まで稚貝と見られる1.0 mm前後のサイズの個体が採取できた.秋季から冬季の間に採取された個体のサイズにあまり変化はなく,1月から3月の間は採取された個体は全て1.5 mm以上のサイズであった.サイズが1.5 mm前後の個体は年間を通して採取できた.その個体数は春季から夏季にかけて多くなる傾向があり,8月にピークを迎えた後,急速に減少した.それに比べ,6月から8月までの夏の期間を除く全ての月で採取された3.0 mm以上の個体では急激な変化はみられなかった.また,年間を通して調査地内の個体数に著しい変化は無かった.以上のことより,袴腰海岸に生息するアラレタマキビの寿命は少なくとも1年以上であり,稚貝の新規加入は年に一回夏の時期であると考えられる.その後,稚貝は12月までに1.5 mm以上まで成長し,越冬する傾向がある.また,大きなサイズよりも小さなサイズのほうが成長するスピードが速いことより,サイズ別に成長のスピードが変化することや,小さなサイズだけにみられた夏季から秋季にかけて急速に成長し,その後安定するといった同じサイズ内でも成長のスピー