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九州沿岸と種子島から初めて記録されたフエフキダイ科魚類キツネフエフキ

畑 晴陵・伊東正英・鏑木紘一・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

キツネフエフキLethrinus olivaceus Valenciennes, 1830は体長80 cm,全長1 mに達する大型のフエフキダイ科フエフキダイ属魚類である(Carpenter and Allen, 1989; Carpenter, 2001;島田,2013).本種は薩南群島を含む琉球列島から多く報告されており,沖縄県においては「おもながー」や「うむながー」などと称され,延縄や釣り,刺網などによって漁獲される(具志堅,1972;池口,2005;三浦,2012; Nakae et al., 2018).しかし,キツネフエフキは琉球列島よりも北方においては非常に稀な種であり,和歌山県みなべ町と大隅諸島屋久島からのみ記録されていた(池田・中坊,2015; Motomura and Harazaki, 2017). 鹿児島県における魚類相調査の過程で,薩摩半島西岸に位置する笠沙町の沖合から2個体,大隅諸島種子島から1個体のキツネフエフキが得られた.これらの標本はそれぞれ,九州沿岸と種子島における本種の標本に基づく初めての記録となるため,ここに報告する.