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トカラ列島臥蛇島の鳥類相

稲留陽尉・外園九十九・宮﨑泰子・江嵜正裕・鹿児島県環境林務部自然保護課

Abstract / Introduction / Summary:

トカラ列島は,鹿児島県の屋久島と奄美大島の間に位置し,有人島7島,無人島5島からなる島々にて構成されている.これらの島々は,日本本土と奄美大島,沖縄,東南アジア地域を行き来する鳥類にとって,季節的な渡りを行う際の重要な中継地と考えられている(関ほか,2011).

トカラ列島の中でも定期便が就航している有人島では,鳥類も含め動植物を対象とした調査が比較的行われている(例えば鹿児島県,1991).一方,臥蛇島は,以前は人の生活が営まれていたが,1970年(昭和45年)に集団移転によって無人島化し,定期船も廃止された(十島村,1995).その後島へ渡航するには船をチャーターする必要があり,容易には行くことができなくなった.その結果,渡航機会が少なく現地の生物相を調べる機会も限られている. 鳥類もこれまで臥蛇島の記録は,非常に限られていた.しかしながら,2011年にこれまでのトカラ列島での鳥類相の記録が整理され(関ほか,2011),その翌年には,自動記録装置による長期的な調査も行われている(関,2012).そのため,徐々にではあるが臥蛇島で記録が充実しつつある.今回,臥蛇島で鳥類相調査を実施し,これまでに記録のない種も確認された.鳥類相の情報蓄積として残すべくここに報告する.