/ 044-013

指宿市における国内外来種オキナワキノボリトカゲJapalura polygonata polygonataの生態と現状

船越公威・大坪将平・港 眞美・小林なるみ

Abstract / Introduction / Summary:

オキナワキノボリトカゲJapalura polygonata polygonata(以下,キノボリトカゲ)は,沖縄諸島のほぼ全域と奄美諸島の中・北部に生息しており,日本固有亜種である.本亜種は,昼行性で主に樹上で生活し,昆虫を主食にしている.環境省カテゴリーで絶滅危惧II類に位置づけられているが,一方で,人為的な移入によって分布域外で繁殖する国内外来種として報告されている(宮崎県日南市:Ota et al., 2006;末吉ほか,2007;岩本ほか,2012, 2016;鹿児島県指宿市:中間,2008,太田ほか,2012;屋久島:Jono et al., 2013;長崎県松浦市:松尾,2017).日南市の油津地区では,1998年にキノボリトカゲの生息情報が得られて以来増え続けており,現状では幼体を含めて推定4万頭近くに及んでいる(岩本ほか,2016).指宿市では,2003年に西方(北指宿中学校周辺)と東方(宮地区,揖宿神社境内)で発見され(中間,2008),その後,それらの周辺域に分布を広げている(太田ほか,2012).

こうした状況の中で,指宿市におけるキノボリトカゲの本格的な生態的調査を実施し,現状の把握に努めた.これらの調査結果を基に日南市のキノボリトカゲと比較し,今後の在来種への影響や生息域拡大の懸念と本格的な対策への取り組みを提案した.