Abstract / Introduction / Summary:
食肉目イタチ科のニホンアナグマMeles anakuma(以下,アナグマ)は,日本固有種で本州,四国および九州に生息している(Kaneko, 2015).高山帯の混交林,低山帯の落葉広葉樹林および都市近郊や里山まで広く分布し,その生活史,生態や行動については各地域で調査されている(金子,2001, 2002, 2008;Tanaka et al., 2002;Tanaka, 2005;船越・重信,2006;Kaneko et al., 2009;鮫島ほか,2015;島田・落合,2016).九州地方の各県では個体数が増加傾向にあるようで,有害駆除数も年々増加している.特に,鹿児島県では有害駆除数が近年急増しており,年間5千頭前後の捕獲数について,国内外から適切な駆除数であるかどうか懸念されている.そこで,県内各地域のアナグマの交通事故死亡(以下,ロードキル)個体数の変化が生息個体数(密度)の相対的な変化を反映していると想定して,生息個体数が増加傾向にあるのかどうか,それと連動して捕獲数が増加しているのかどうかを検証した.また今後のアナグマの保全について言及した.