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鹿児島県における 2016年 1 月寒波の植物への影響

相場慎一郎・冨山清升・川西基博・福元しげ子・上村 文・遠城道雄・築地新光子・宮本旬子・落合晋作・永榮大樹・前田芳之

Abstract / Introduction / Summary:

2016 年 1 月 24 日から 25 日にかけて西日本を 寒波が襲い,鹿児島県でも各地で気温が氷点下と なった.気象庁の観測では,鹿児島市(標高 4 m) で最低気温 -5.3℃が記録された.鹿児島市の気温 が -5℃を下回ったのは 1977 年(-5.8℃)以来で あり,-3℃を下回ったのも 1983 年以来である. 奄美大島の名瀬(標高 3 m)の最低気温は 4.4℃で, これは 1968 年と並ぶ観測史上最低値であり,115 年ぶりに降雪も観測された.この寒波により農作 物に大きな被害が出たことが報じられた.鹿児島 大学農学部附属農場唐湊果樹園の被害については 山本ほか(2017)が報告している.農作物以外の 植物についても,国の特別天然記念物に指定され ている喜入のメヒルギ群落が被害を受けたが,梅 雨入り前後から回復しつつあることが報じられ た.被害からの回復もおおよそ把握できるように なった 2016 年 10 月ごろから,鹿児島県内各地に おける植物の寒波被害と回復状況について情報を 収集し,ここに記録として残すことにした.