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奄美大島におけるコガタスズメバチの営巣規模

山根正気・川畑 力

Abstract / Introduction / Summary:

奄美群島にはスズメバチ亜科のハチが 3 種生 息する(山根ほか,1999).スズメバチ属 2 種の うちヒメスズメバチ Vespa ducalis Smith は奄美大 島と徳之島のみから,コガタスズメバチ Vespa analis Fabricius は奄美大島,加計呂麻島,請島, 徳之島から記録されている.コガタスズメバチは 近年沖永良部島からも採集されているが(金井賢 一,未発表),自力飛来か人為導入かはあきらか でない.クロスズメバチ属のアマミクロスズメバ チ Vespula shidai amamiana Yamane は,奄美大島 と加計呂麻島から知られる. 奄美群島産スズメバチ亜科の生態については 情報がきわめて不足している.シダクロスズメバ チの奄美固有亜種であるアマミクロスズメバチで は多女王・多年性のコロニーを形成することが知 られているが(Yamane and Maeda, 2008),それ以 外の種についての生活史はほとんどわかっていな い.コガタスズメバチについては,巣(覆蓋)の 上 端 が 尖 っ た 屋 根 を 形 成 す る こ と( 高 見 沢, 2005;山根・川畑,2016),新女王は朽木の樹皮 下で越冬することが分かっているにすぎない. 筆者の一人川畑は 2016 年 10–11 月に奄美大島 龍郷町にある「奄美自然観察の森」でコガタスズ メバチの巣 4 個を駆除した.これらの巣を山根が 分解し,営巣規模や産出成虫数についての情報を えることができたので,ここに報告する.