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鹿児島大学総合研究博物館に所蔵されている胃内容物魚類標本

小枝圭太・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

食物資源の獲得は,あらゆる動物が生命を維持 するための必須事項のひとつである.主要食物の タイプや捕食方法といった食性を解明すること は,種間の関係を明らかにする有力な方法のひと つであり,対象とする種の基礎生態を理解するた めに重要である.そのため魚類では,水産種や外 来種など人間活動に直接的に関係しやすい種を対 象とした捕食者側に焦点を当てた研究が多くなさ れている(Talbot, 1960;高橋ほか,1987;淀・木 村,1996;Shimose, et al., 2008 な ど ). 一 方 で, 稀少な魚種や散発的にしか得られないような魚種 の食性については,データ量の問題から報告例が 少なく,使用可能なデータとして蓄積されている とは言い難い現状がある.そこで本報告では,こ れら散発的に得られる魚種の生態学的知見の蓄積 に寄与するため,鹿児島大学総合研究博物館に所 蔵されている魚類標本のうち,魚類の胃から得ら れた 37 種 41 標本をリストした.また,これらを 捕食していた魚種,標本の状態,特筆すべき分布 に関する情報について報告する.