/ 043-049

鹿児島県産ヤリマンボウMasturus lanceolatus若魚の外部形態

澤井悦郎・山田守彦

Abstract / Introduction / Summary:

ヤ リ マ ン ボ ウ Masturus lanceolatus(Liénard, 1840)は,マンボウ科ヤリマンボウ属に属し,世 界中の温帯・熱帯海域に分布する大型魚類である (波戸岡・萩原,2013).本種は外観が類似するマ ンボウ属魚類 Mola と混同されるが,舵鰭(体後 端の尾鰭に見える部位)から後方にむかう突出部 を持つことで識別される.日本国内においては, 太平洋側では宮城県以南,日本海側では秋田県以 南で確認されているが,本種の出現自体は稀であ り,鹿児島県内では口永良部島と奄美大島からの 2 例しか記録がみあたらない(白鳥,2008;波戸岡・ 萩原,2013;小枝ほか,2016). このたび,2016 年 5 月に鹿児島県本土から本 種の小型 2 標本が得られた.これらは本種の標本 に基づく鹿児島県本土からの初めての記録,鹿児 島県内における 3 例目の記録になると考えられた ため,ここに報告する.また,本報告では小枝ほ か(2016)が報告した標本と本 2 標本を比較し, 本種の成長に伴う外部形態の変化についても考察 を行った.