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宇治群島から得られた鹿児島県 2 例目のキビレカワハギ

畑 晴陵・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

カワハギ科ウマヅラハギ属 Thamnaconus は雌 雄ともに背鰭前部の背縁と臀鰭前部の腹縁が伸長 すること,第 1 背鰭棘後側面の棘が側方を向くこ と,腰骨の可動部が小さいこと,腹鰭が腰骨の後 端に位置すること,頭長が体高とほぼ同長である こと,尾柄部に小棘を欠くことなどの特徴をもち (Hutchins, 1977, 2001),日本からはアズキウマヅ ラ T. fijiensis Hutchins and Matsuura, 1984,サラサ ハギ T. hypargyreus (Cope, 1871),キビレカワハギ T. modestoides (Barnard, 1927), ウ マ ヅ ラ ハ ギ T. modestus (Günther, 1877),およびゴイシウマヅラ ハギ T. tessellatus (Günther, 1880) の 5 種が知られ ている(林・萩原,2013). 日本産ウマヅラハギ属のうち,ウマヅラハギ とキビレカワハギの 2 種のみが鹿児島県における 分布が報告されているが(徳留・川上,1977;鹿 児島県衛生研究所,1991;仲島・松岡,2005, 2006;林・萩原,2013;鏑木,2016),キビレカ ワハギの記録は,鏑木(2016)がウマヅラハギと して種子島における分布を報告したもののみに限 られる. 2015 年 12 月 9 日に薩摩半島西方に位置する宇 治群島において 1 個体のキビレカワハギが釣獲さ れた.本標本は同群島における本種の標本に基づ く初めての記録となるため,ここに報告する.