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種子島から得られたニシン科ヤマトミズン属魚類 2種:ヤマトミズンとホシヤマトミズンの記録

畑 晴陵・高山真由美・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

ニ シ ン 目 ニ シ ン 科 ヤ マ ト ミ ズ ン 属 魚 類 Amblygaster は,第 2 上主上顎骨の下半分が肥大 せず,上下対称であること,臀鰭最後の 2 軟条が 伸長すること,背鰭前方鱗が体の正中線上に配列 すること,および鰓孔後縁に上下に並んだ前向突 起を 2 つ有することなどにより特徴づけられ (Whitehead, 1985; Munroe et al., 1999),世界に A. clupeoides,ヤマトミズン A. leiogaster,およびホ シ ヤ マ ト ミ ズ ン A. sirm の 3 種 が 知 ら れ る (Whitehead, 1985).日本にはそのうち後者 2 種が 分布する(青沼・柳下,2013). ヤマトミズンとホシヤマトミズンはいずれも 沖縄県においては定置網などによって多獲され, 2 種合計で年間 100 トン以上が漁獲されることも ある(三浦,2012;石森ほか,2013;上原ほか, 2015).いずれも食用となるほか,マグロ漁業の 釣り餌にも重用される(鹿児島県水産振興課, 1997;石森ほか,2013;吉村,2015).しかし, これら 2 種の大隅諸島における分布はこれまで確 認 さ れ て お ら ず, 同 地 域 の 魚 類 相 を 扱 っ た Motomura et al. (2010), 本 村 ほ か(2013), 鏑 木 (2016),Motomura and Harazaki (2017) にも記録さ れていない.種子島における魚類相研究の過程で, ヤマトミズンとホシヤマトミズンが得られた.こ れらの標本は 2 種の大隅諸島における標本に基づ く初めての記録となるため,ここに報告する.