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平成 27 年秋「サシバ」の渡り調査

柳田一郎

Abstract / Introduction / Summary:

毎秋,ワシタカの仲間「サシバ」は,日本列 島北部や朝鮮半島などの繁殖地から列島の上空を 群れとなって南下し,本土最南端の佐多岬から空 を川のような一列になって南(八重山群島,フィ リッピン,インドネシアなど)へ渡っていく. サシバ(鳥綱タカ目タカ科サシバ属)は,環 境省レッドリストの絶滅危惧 II 類(VU)に分類 される.大きさはハシボソガラス程,翼が細長く, 全長 47 ~ 51 cm、翼開長 100 ~ 110 cm に達する. 九州から本州さらに北方(朝鮮半島北部から中国 東北部)の林で繁殖,「ピックイー」という特徴 的な声で鳴く.農地などで急降下してカエルやヘ ビを捕食する.夏の渡り鳥で,秋に列島の上空を 通過する群れが見られ,南西諸島以南で冬を越す ものが多い. 昭和 60 年代,佐多岬(田尻漁港)は日本野鳥 の会鹿児島県支部の定例探鳥会の場所となり,上 空を 1 日に最大 3 万羽を超えるサシバが渡ってい た.しかし,アクセスが不便なため,平成年代に はいると探鳥会の場所が県立大隅広域公園に変わ り,佐多岬における記録が残らなくなった.さら に,地元田尻の方々からの情報でも,かつてのよ うな大空を流れるような渡りは見られなくなった と言われている.このため,昭和 60 年代に渡り のピークであった 10 月 10 日前後に佐多岬に滞在 し,渡りを観察しながら情報を収集し,昭和 60 年代と比較した. 調査 例年の渡りのピーク時期 3 日間,現地調査及 び野鳥の会会員からの情報収集を行った. (1)平成 27 年 10 月 10 日(土)金峰山現地調査 (2)10 月 11 日(日)金峰山 日本野鳥の会鹿児 島主催「金峰山探鳥会」の情報提供 (3)10 月 11 日と 12 日(月,体育の日)佐多岬(田 尻漁港)で現地調査 (4)10 月 12 日(月)大隅広域公園 日本野鳥の 会鹿児島主催「大隅広域公園探鳥会」の情報提供