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ニシン科魚類オグロイワシ Sardinella melanuraの大隅諸島からの初めての記録

畑 晴陵・鏑木紘一・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

ニシン科サッパ属 Sardinella は背鰭前方鱗が体 の正中線上に配列しない,第 2 上主上顎骨の形状 が上下対称,臀鰭最後の 2 軟条が伸長すること, 腹鰭軟条数が 8 または 9 であること,鰓孔後縁に 上下に並ぶ 2 個の突起を有することなどで特徴づ けられ(Whitehead, 1985; Munroe et al., 1999),世 界に 21 種が知られている(Whitehead, 1985).こ のうち,カタボシイワシ S. lemuru Bleeker, 1853, オグロイワシ S. melanura (Cuvier, 1829),および サッパ S. zunasi (Bleeker, 1854) の 3 種が日本から 知られている(青沼・柳下,2013). オグロイワシはこれまで小笠原諸島,和歌山 県,愛媛県,高知県,宮崎県,鹿児島県本土,徳 之島,および沖縄県から報告されていた(遠藤, 2001;平田ほか,2010;青沼・柳下,2013;吉郷, 2014).2015 年 11 月から 12 月にかけて 7 個体の オグロイワシが大隅諸島種子島東岸から採集され た.これらの標本は大隅諸島における本種の標本 に基づく初めての記録となるため,ここに報告す る.