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チカメタカサゴPinjalo pinjaloの日本における成魚 2 個体目の記録

小枝圭太・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

フエダイ科セダカタカサゴ属 Pinjalo は背鰭基 底部に鱗に覆われる部分があること,鋤骨に歯帯 があること,第 1 鰓弓の下枝鰓耙数が 20 以下で あること,背鰭が 11–12 棘かつ 13–15 軟条である こと,目の中心がほぼ体軸上にあること,側線下 方の鱗列が斜め上後方へ向かうこと,および牙状 の歯をもたないことなどの特徴をもつ(Allen, 1985).インド・太平洋のセダカタカサゴ属は, Randall et al. (1987) により,セダカタカサゴ P. lewisi Randall, Allen and Anderson, 1987 とチカメタ カサゴ P. pinjalo (Bleeker, 1845) の 2 種に整理され, 日 本 か ら も こ の 2 種 が 知 ら れ て い る( 島 田, 2013). チカメタカサゴはこれまで国内において,石 垣島から得られた稚魚と鹿児島県佐多岬沖から得 られた成魚 1 個体のみが報告されている(金城・ 仲 本,1995; 岩 槻 ほ か,2004; 島 田,2013). 2015 年 3 月 28 日に鹿児島県薩摩半島の開聞川尻 沖で 1 個体のチカメタカサゴが採集された.本標 本は鹿児島県ならびに日本における本種成魚の標 本に基づく 2 例目の記録であり,薩摩半島からの 初めての記録となるため,ここに報告する.