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屋久島から得られたウスメバルSebastes thompsoniの南限記録

岩坪洸樹・山口 実・畑 晴陵・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

ウスメバル Sebastes thompsoni (Jordan and Hubbs, 1925) は,岩手県から得られた 1 標本と大阪府か ら得られた 2 標本に基づき新種記載された.ウス メバルは日本と朝鮮半島東岸から南岸にかけて分 布し,日本国内ではこれまでに,北海道から高知 県土佐湾にかけての太平洋沿岸,北海道から対馬 にかけての日本海沿岸,および大阪府沿岸から記 録 さ れ て い る( 中 坊・ 甲 斐,2013 な ど ). Motomura et al. (2010) は,2008 年から 2009 年に かけて大隅諸島屋久島でほぼ網羅的な魚類相調査 を行い,標本採集や水中写真の収集をするととも に,それ以前の屋久島産の標本や屋久島産の魚類 を報告した文献も調査し,112 科 382 属 951 種の 海 産 魚 類 を 記 録 し た. そ の 後 Motomura and Aizawa (2011) などによって追加報告がなされた が,屋久島から採集されたメバル科魚類の報告は アヤメカサ ゴ Sebastiscus albofasciatus (Lacepède, 1802) のみである (Motomura et al., 2010). 2015 年 4 月 7 日に屋久島南方沖で 1 個体のウ スメバルが採集された.本標本は,鹿児島県にお ける初めての記録であり,屋久島の魚類相の追加 種となると同時に,ウスメバルの南限記録となる ため,ここに記載し報告する.また,本報告では ウスメバルの分布について若干の考察をおこなっ た.