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キントキダイ科キビレキントキ Priacanthus zaiseraeの奄美大島からの記録

ジョン ビョル・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

キントキダイ科魚類はインド・太平洋と大西 洋に広く分布するスズキ目魚類である.本科魚類 は, 従 来 世 界 で 4 属 18 種 が 知 ら れ て い た が (Starnes, 1988),Pristigenys niphonia (Cuvier, 1829) の新参異名とされていた P. refulgens (Valenciennes, 1862) が Iwatsuki et al. (2012) によって有効種とさ れたため,現在は 4 属 19 種が有効種とされている. 一方,日本からは 4 属 11 種が知られている(林, 2013).本科魚類は体が側扁し,体高が比較的高 く鶏卵形または長楕円形,眼と口が大きい,体が 櫛鱗で覆われる,背鰭が 1 基,背鰭棘が 10 本, 臀鰭棘が 3 本,腹鰭と腹部が膜で繋がる,および 生時の色彩が明るい赤色であることなどによって 特徴付けられる(Starnes, 1988). キビレキントキ Priacanthus zaiserae Starnes and Moyer, 1988 は,これまでに伊豆諸島(三宅島), 神奈川県以南の太平洋沿岸,沖縄本島,尖閣諸島, 東シナ海から記録されていた.2013 年 12 月 9 日 に奄美大島にて,キビレキントキと同定される 2 個体が採集された.これらは奄美群島におけるキ ビレキントキの標本に基づく初めての記録となる ため、ここに記載し,報告する. 材料と方法 標本の計数・計測方法は Hubbs and Lagler (1947) と Starnes (1988) にしたがった.計測はデジタル ノギスを用いて 0.1 mm 単位まで行い,計測値は 体長に対する百分率で示した.標準体長(standard length)は体長(SL)と表記した.生鮮時の体色 の記載は,KAUM–I. 57884 と 57885 の生鮮時の カラー写真に基づく.比較で用いた計数・計測値 は Starnes (1988) に基づく.標本の作製,登録, 撮影,固定方法は本村(2009)に準拠した.本報 告で用いた標本は,鹿児島大学総合研究博物館 (KAUM: Kagoshima University Museum)に保管さ れており,KAUM–I. 57884 と 57885 のカラー写 真は同館の画像データベースに登録されている.