/ 039-013

奄美群島与論島から採集されたクロユリハゼ科魚類 ゼブラハゼ Ptereleotris zebra

岩坪洸樹・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

クロユリハゼ科魚類(Ptereleotridae)は,体が 細長く側扁し,腹鰭が左右に分かれ,ほとんどの 種が遊泳性であることが特徴であり,日本から 5 属 25 種が知られている(鈴木・渋川,2004; Hoese and Motomura, 2009;Suzuki et al, 2010;明 仁ほか,2013).  ゼブラハゼ Ptereleotris zebra (Fowler, 1938) は, 伊豆諸島,小笠原諸島,南日本の太平洋沿岸およ び琉球列島に広く分布すると記述されることがあ るが(例えば,吉野,1988;多紀ほか,2005;加 藤,2011),奄美群島からの標本や水中写真に基 づく本種の確かな記録はない(Yamakawa, 1979; 瀬能ほか,1997;明仁ほか,2000;鈴木・瀬能, 2001;鈴木・渋川,2004;坂井ほか,2009;工藤・ 山田,2011;明仁ほか,2013).  2012 年 10 月 25, 26 日に奄美群島与論島与論港 付近から,2 個体のゼブラハゼが採集された.坂 井ほか(2009)によるトカラ列島からのゼブラハ ゼの記録は,水中写真に基づくものである.その ため,与論産の標本は奄美群島ならびに鹿児島県 における標本に基づくゼブラハゼの初記録とな る.よって,与論島から得られたゼブラハゼ 2 標 本をここに記載し報告する.