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奄美群島与論島初記録のカワアナゴ科 チチブモドキ Eleotris acanthopoma

岩坪洸樹・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

カワアナゴ科カワアナゴ属魚類(Eleotridae: Eleotris)は,日本国内からカワアナゴ E. oxyce- phala Temminck and Schlegel, 1845,オカメハゼ E. melanosoma Bleeker, 1853,チチブモドキ E. acan- thopoma Bleeker, 1853, テ ン ジ ク カ ワ ア ナ ゴ E. fusca (Forster, 1801) の 4 種が知られている(鈴木・ 渋川,2004).そのうち,チチブモドキはカワア ナゴ属魚類のうち最も生息域が広く,陸水の渓流 域を除くいたるところに生息し,淡水の影響があ ると思われる岩礁性のタイドプールにも出現する (岩田,2001;鈴木・渋川,2004).また,仔魚は 降海することが知られている(木村,2009). 松沼ほか(2012)では鹿児島県与論島において, 汽水域を含める島内の陸水域から 10 科 15 種の魚 類を報告したが,チチブモドキは含まれていない. また,チチブモドキは鹿児島以南の島嶼では屋久 島,喜界島,奄美大島,徳之島,沖縄島,石垣島, 小浜島,西表島から記録されているが(岡田・青 柳,1941;明仁,1967;林・伊藤,1978;林ほか, 1992),与論島から記録はない. 2012 年 8 月 15 日に与論島茶花の水路から 7 個 体のチチブモドキが採集された.これらの標本は, 与論島における本種の標本に基づく初めての記録 であるため,ここに記載し報告する.