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鹿児島県与論島で採集された汽水・淡水産魚類

松沼瑞樹・龍野勝志・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

与論島は奄美群島のひとつで,沖縄島と沖永 良部島の間にあり,鹿児島県の最南端に位置する. 与論島における陸水性魚類の報告は乏しく,1980 年代までに茶花のため池からドジョウ Misgurnus anguillicaudatus (Cantor, 1842) の生息が確認され たのみである(与論町誌編集委員会,1988).し かし,近年では与論島の湧水地から,絶滅危惧種 に指定される希少な藻類や甲殻類が報告されてお り(洲澤ほか,2010;鈴木ほか,2011),本島に おける陸水性生物相の調査の必要性は増してきた といえる. そこで,2011 年 8 月に鹿児島大学総合研究博 物館により行われた与論島での魚類相調査の一環 として,島内の主要な水路とため池で魚類の生息 調査を行った.また,国立科学博物館に所蔵され ている魚類標本の調査も行った.その結果,汽水 域をふくめる島内の陸水域から 10 科 15 種の魚類 が確認されたので報告する.