/ 037-006

鹿児島県野間池沖から得られたボウズカジカ Ebinania brephocephala (カサゴ目:ウラナイカジカ科)の記録

目黒昌利・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

カサゴ目ウラナイカジカ科 (Scorpaeniformes: Psychrolutidae) は 世 界 で 8 属 約 35 種 (Nelson, 2006),日本からは 6 属 11 有効種が知られている (中坊,2000).そのうちアカドンコ属 Ebinania は世界で 6 種が有効種として認められており (Nelson, 1982; Jackson and Nelson, 2006),日本近海 に は ボ ウ ス カ ジ カ E. brephocephala (Jordan and Starks, 1903) とアカドンコ E. vermiculata Sakamo- to, 1932 の 2 種のみが分布する(中坊,2000;Ja- ckson and Nelson, 2006). ボウズカジカは日本近海のみに分布し,これ まで福島県から高知県にかけての太平洋沿岸で知 られていたが(中坊,2000),最近 Shinohara et al. (2005) は東シナ海(31°11′24–60″N,128°23′48″E) の水深 392 m から採集された本種 1 個体を報告し た. 2010 年 9 月 10 日に鹿児島県南さつま市野間池 沖で,ボウズカジカと同定される標本が 1 個体採 集された.この標本はボウズカジカの東シナ海か らの 2 番目の記録となるとともに,九州沿岸域か らは初めての記録となるため,ここに報告する.