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2007年に報告された鹿児島県の魚類に関する新知見

本村浩之・櫻井 真

Abstract / Introduction / Summary:

2008 年 3 月現在,日本周辺水域から 4028 種の 魚類が報告されている.過去記録された日本産魚 類全種を扱った最新の一般向け図鑑は 2002 年に 出版された(Nakabo, 2002).日本は水産国とい われるだけあり,魚類の研究は大学や博物館,国 の研究所などの研究機関をはじめ,各自治体の試 験場や学校,水族館,さらには一般個人によって 盛んに行われている.そのため,日本産魚類にお ける新知見はかなりのスピードで蓄積されてい る.例えば,Nakabo (2002) 以降,現在までの 6 年間で 165 種の魚類が新たに日本から発見され た.これらの新知見は国内外の各種学術雑誌や各 研究機関の機関紙など様々な出版物によって報告 されているため,魚類学を専門としている研究者 でさえ新知見を完全にフォローすることは容易で はない. 鹿児島県は県土が南北 600 km におよび,多 くの島嶼も有している.さらに,奄美大島と種子 島・屋久島の間に位置する有名な渡瀬線を始め, 鹿児島県には海産魚類に関して,2 つの動物地理 学的区分線がある.これら 2 区分線で分けられる 3 つの異なる魚類相を有する鹿児島県は,魚類の 種多様性が日本ではもっとも高い県といえる.そ のため,ダイビングでフィッシュウォッチングを するために県外から訪問する人も多く,ダイビン グのガイドを含め,鹿児島県の一般市民の魚類へ の関心は高い. 本報告では,2007 年 1 月から 12 月に間に報 告された鹿児島県の魚類に関する新知見を一般向 けに分かりやすく紹介したい.今後はできるだけ 毎年本誌で鹿児島の魚類研究ハイライトを紹介し たいと考えている.なお,以下に紹介する魚類の 掲載順番は Nelson (2006) に従った.