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沖縄島の汽水域から発見された ヒメハゼ属魚類 2 種によるミステリーサークル

百瀬 樹

Abstract / Introduction / Summary:

ヒメハゼ属魚類 Favonigobius は,西太平洋の 熱帯から亜熱帯に 9 種が知られているスズキ目ハ ゼ科の魚類である(明仁ほか,2013).ヒメハゼ 属魚類については複数の未記載種が報告されてお り(吉郷,2014),今後の分類学的研究が待たれ る魚類の一つである.著者は,2019 年 3 月 23 日 に沖縄島の河川河口でヒメハゼ属魚類の観察を 行っていた.その際,周りに放射状の溝が掘られ ているミナミヒメハゼ Favonigobius reichei (Blee- ker, 1853) の巣を発見した.放射状の溝は綺麗な サークル状になっており,中村(1944)のヒメハ ゼ Favonigobius gymnauchen (Bleeker, 1860) が掘っ た放射状の溝のスケッチともよく似ていた.本研 究では,放射状の溝がミナミヒメハゼの巣におい て恒常的にみられるものなのかを調査し,さらに, 他のヒメハゼ属魚類でも同様の発見があったた め,ここに報告する.