小村新田干拓潮遊池は鹿児島県霧島市天降川 河口東側と国分平野排水路水戸川の間に位置し, 鹿児島湾に面する汽水池である.小村(霧島市国 分広瀬)は遠浅の海岸であったが,江戸末期の弘 化 2 年(1845 年)に新田開発のための干拓が起 工され,嘉永 4 年(1851 年)に完成した(国分 郷土誌編纂委員会,1997).堤防は幾度かの台風 で崩壊したがそのつど補修されたものの,昭和 26 年(1951 年)10 月のルース台風で大きな被害 を受けた(国分郷土誌編纂委員会,1997).その後, 昭和 39 年度(1964 年度)から 50 年度(1975 年度) にかけてコンクリート製の堤防と樋門が国により 整備された(鹿児島県姶良・伊佐地域振興局農林 水産部農村整備課,私信).堤防の内側には流入 する海水の調整をする潮だまり池(潮遊池)が設 けられており(国分郷土誌編纂委員会,1997), 潮遊池は樋門により海と繋がっており,干拓地内 から淡水が流入している. 小村新田干拓潮遊池では毎年お盆明けの 8 月 16 日に投網で「エッナ(ボラ Mugil cephalus cepha- lus Linnaeus, 1758 の小型個体)」を獲って食べる 伝統行事「ハンギリ出し」が小村新田魚獲り組合 に よ り 行 わ れ て い る( 広 瀬 の 歴 史 編 集 委 員, 1998;惣田征郎氏,私信).現在「ハンギリ出し」 が行われているのは小村新田干拓潮遊池のうち住 吉大明神前の 1 区画である.その区画の東側には ルース台風以前に造られた石積みの護岸が残され ており(堂園隆司氏,私信),他の 3 面はコンクリー ト護岸となっている.また,住吉大明神付近には わずかにヨシが生えている. 近年,「ハンギリ出し」行事において「エッナ」 があまり獲れなくなり,伝統行事を守るため地域 住民らが「エッナ」減少の原因を明らかにするよ う霧島市に働きかけた.そこで,霧島市は「エッ ナ」の減少の原因を明らかにする目的でテレビ東 京の番組「緊急 SOS !池の水ぜんぶ抜く大作戦」 の招致を行い,2019 年 1 月 14 日に番組の収録に 伴い小村新田干拓潮遊池において水抜き調査が行 われた.その際に,外来種の生息状況と魚類相の 現状把握のため,水抜き後の池から魚類を採集し 出現魚種の調査を行った.その結果,標本(16 種) と現場での目視(1 種)に基づき9 科 17 属 17 種 の魚類が確認された.本報告では,水抜き調査で 確認された小村新田干拓潮遊池における魚類相を 報告する.

水抜き調査によって明らかになった 鹿児島県霧島市国分広瀬の 小村新田干拓潮遊池の魚類相(中村潤平・樋之口蓉子・本村浩之)