ハゼ科ゴビオネルス亜科サルハゼ属 Oxyurich- thys Bleeker, 1857 は先端が二叉した幅広い第 3 神 経棘をもつ,頭部の前眼肩甲管に開孔 A’,B,C, D(S),F,H’ がある,および上顎の歯列が一列で あること[Oxyurichthys keiensis (Smith, 1938) を除 く]などの特徴をもち,インド・太平洋から 16 有効種が知られている(Pezold and Larson, 2015). しかし,本属は分類学的問題を多く抱えており, 日本産サルハゼ属魚類の分類の現状をまとめた渋 川ほか(2017)は 1 未記載種,1 未同定種,およ び 2 日本未記録種を含む 14 種を報告している. 2018 年 6 月から 11 月にかけて鹿児島県南九州 市頴娃町からサルハゼ属魚類が採集され,標本作 成を行った 9 個体を精査した結果,2 個体がミナ ミサルハゼ Oxyurichthys lonchotus (Jenkins, 1903), 7 個体がカマヒレマツゲハゼ Oxyurichthys cornu- tus McCulloch and Waite, 1918 に同定された.日本 国内においてこれまで前者は千葉県から宮崎県に かけての太平洋沿岸,小笠原諸島,および琉球列 島から,後者は静岡県,和歌山県,徳島県,大分 県,および琉球列島から知られていた(立川・宮 島,2012;明仁ほか,2013;吉郷,2014;国土交 通省四国地方整備局那賀川河川事務所,2017;山 川ほか,2018;村瀬ほか,2019).その後,薩摩 半 島 西 岸 か ら マ ツ ゲ ハ ゼ Oxyurichthys ophthal- monema Bleeker, 1856 として報告されていた標本 写真が本研究によってカマヒレマツゲハゼに同定 された.したがって,鹿児島県薩摩半島南岸から 得られたミナミサルハゼとカマヒレマツゲハゼは 鹿児島県本土初記録となるため,ここに報告する. さらに,両種の生態学知見について考察を行った.

鹿児島県薩摩半島南岸から得られた ミナミサルハゼとカマヒレマツゲハゼの記録 (ハゼ科 : サルハゼ属) および両種の生息環境に関する新知見(古𣘺龍星・是枝伶旺・赤池貴大・本村浩之)