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チカメタカサゴの日本における成魚3 個体目の記録

和田英敏・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

フエダイ科セダカタカサゴ属Pinjaloは,背鰭基底が部分的に鱗に覆われる,鋤骨に歯帯をもつ,第1鰓弓の下枝鰓耙数が20以下,背鰭が11–12棘かつ13–15軟条,目の中心がほぼ体軸上にある,側線下方の鱗列が斜め上後方へ向かう,および牙状の歯をもたないなどの形態的特徴をもち(Allen, 1985;島田,2013),全世界でセダカタカサゴPinjalo lewini Randall, Allen and Anderson, 1987とチカメタカサゴPinjalo pinjalo (Bleeker, 1850)の2種が有効とされており(Fricke et al., 2018),日本からもこの2種が知られている(島田,2013).

チカメタカサゴはこれまで国内において石垣島から得られた稚魚と,鹿児島県大隅半島の佐多岬沖と薩摩半島の開門川尻沖から得られた成魚2個体のみが記録されている(金城・仲本,1995;岩槻ほか,2004;小枝・本村,2015). 2019年1月5日に大隅諸島の黒島の沖合で1個体のチカメタカサゴが釣獲された.この標本は鹿児島県ならび日本におけるチカメタカサゴ成魚の標本に基づく3例目の記録であり,大隅諸島からの初記録となるため,ここに報告する.