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鹿児島県八房川の感潮域上部から淡水域における魚類相

日比野友亮・松重一輝・大石隆一・安武由矢・望岡典隆

Abstract / Introduction / Summary:

八房川は鹿児島県北西部を流れる総延長約19 kmの中規模河川で,中岳北斜面からほぼ南西流して東シナ海に注いでいる(池・君付,2001).河道は上流から中流にかけて数十mの深さの谷を刻みながら流れ,小刻みに蛇行して下流の沖積低地に達する.上流には市来ダム(1981年竣工)があり,そこから下流にかけて8個の横断工作物(可動堰または固定堰)が設置されている(Fig. 1). 鹿児島県には大小合わせて300本以上の河川が存在するが,河川魚類相について詳細に報告された例はきわめて少ない.八房川では鹿児島県立博物館が主導して行なった自然観察会を通じて得られた生物が魚類も含めて報告されている(鹿児島県立博物館,2001).しかし一部の生鮮・標本写真が掲載されているものの,具体的な標本情報には触れられておらず,またその内容も断片的なものに留まっている.本研究ではこうした状況を踏まえ,八房川においてより詳細な魚類相調査を実施した.