トゲカ ナガシラ Lepidotrigla japonica (Bleeker, 1854) をはじめとするホウボウ科 Triglidae 魚類は, 胸鰭の下側 3 軟条が遊離しており,これらを使用 して海底を歩くように移動し,餌生物を探すとい う特異的な生態をもつことが知られている(矢頭, 1997;木村ほか,2004).本科魚類は日本近海に 3 属 19 種が分布しており,そのうちカナガシラ 属 Lepidotrigla は ソ コ カ ナ ガ シ ラ L. abyssalis Jordan and Starks, 1904,イゴダカホデリ L. alata (Houttuyn, 1782), カ ナ ド L. guentheri Hilgendorf, 1879,ヒメソコカナガシラ L. hime Matsubara and Hiyama, 1932,トゲカナガシラ,ヒレナガカナガ シラ L. kanagashira Kamohara, 1936,オニカナガ シラ L. kishinouyei Snyder, 1911,ツラナガソコカ ナガシラ L. longifaciata Yatou, 1981,カナガシラ L. microptera Günther, 1873,ヒレホシカナガシラ L. punctipectoralis Fowler, 1938,およびボウズカナガ シラ Lepidotrigla sp. の 11 種が国内から報告され ている(山田・柳下,2013). これまで,トゲカナガシラは国内において兵 庫県浜坂から九州南岸の日本海・東シナ海沿岸, 岩手県,千葉県外房から九州南岸の太平洋沿岸, 瀬戸内海,東シナ海の大陸棚域から記録されてい た(山田・柳下,2013). 国立科学博物館所蔵標本の中から,大島郡瀬 戸内町江仁屋離島から得られたトゲカナガシラが 1 個体見つかった.本標本は本種の琉球列島沿岸 からの初記録となるため,ここに報告する.

奄美群島江仁屋離島から得られた琉球列島初記録の ホウボウ科魚類トゲカナガシラ(吉田朋弘・本村浩之)