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奄美群島におけるコガタスズメバチの生態的知見

山根正気・川畑 力

Abstract / Introduction / Summary:

コガタスズメバチ Vespa analis Fabricius 1775 は 東南アジアからアジア北東部にかけて広く分布す るスズメバチである(van der Vecht, 1957; 松浦・ 山根,1984).南西諸島では大隅諸島から八重山 諸島にかけて面積 200 km2 以上の島を中心に広く 分布する.南西諸島において本種が分布する面積 最小の島は奄美群島の与路島(9.48 km2)である (山根,1988).奄美群島では喜界島,請島,与論 島を除く 5 つの有人島から記録があり(高見澤, 2005),奄美大島では比較的普通にみられる. スズメバチ類の生活史や営巣習性については 北海道と本州において詳しく調べられているが, 南西諸島における研究例はツマグロスズメバチ (例えば Martin, 1992, 1995)を除いてほとんどな い(松浦,1995).高見沢(2005)は南西諸島産 スズメバチ類について生活史や営巣習性について 紹介しているが,多くは推測の域をでていない. 今回,奄美群島産のコガタスズメバチについて, 断片的ながら重要な知見が得られたので報告す る.