南西諸島は,鹿児島県種子島から沖縄県与那 国島まで連なる,南北約 1200 km わたる島嶼群で ある.この地域には生物地理境界線の三宅線,渡 瀬線,及び蜂須賀線の 3 線が設定され,生物地理 学上興味ある地域の 1 つである.そのため陸上の 動植物を中心に多くの生物地理学的研究がなされ てきた(安間,2001).陸水産十脚甲殻類に関し ても基礎的調査と同時に,その保全を目的とした 調査研究がなされ,各種の地理的分布が明らかに さ れ て き た( 鹿 児 島 県 の 自 然 を 記 録 す る 会, 2002; 上 田,1963; 諸 喜 田,1975, 1979, 1989, 1991; Shokita & Nishijima, 1976, 1977; Suzuki et al., 1993). その成果の 1 つとして,テナガエビ科スジエ ビ属のスジエビ Palaemon paucidens De Haan, 1844 の分布南限域が鹿児島県種子島及び屋久島である ことが明らかにされ,現在に至っている.近年, 沖 縄 島 で 本 種 の 生 息 が 記 録 さ れ た が( 朝 倉, 2011;林,2011;諸喜田,1991, 2003),本州産の ウナギを放流した際に移入した,国内移入種とさ れている.従って,自然分布における本種の分布 南限域は種子島,屋久島と言える. 一方で,奄美大島の陸水域にスジエビが生息 することは以前から知られていたが,詳細な調査 及び報告はなされてこなかった.このたび奄美大 島の全域調査をする機会に恵まれ,調査した結果, 本種の個体群の生息を確認したので,ここに報告 する次第である.なお,本調査の一部は平成 26 年度科学研究費補助金(基盤研究(A)課題番号: 26241027)により実施された.

テナガエビ科スジエビの奄美大島における初記録(鈴木廣志・大元一樹・光木愛理)