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川内川推込分水路における環境の現状評価-モニタリング調査結果から-

大野幸一郎・新谷勝利・豊國法文・岩川敬樹・東郷純一・鮫島正道

Abstract / Introduction / Summary:

推込分水路整備事業は,平成 18 年 7 月の洪水 により川内川流域内が甚大な被害を受けたことへ の対応として,平成 18 年 10 月 4 日に河川激甚災 害対策特別緊急事業(以下,「激特事業」という) に採択された事業の 1 つである. 同分水路は,さつま町屋地地区に新たに洪水 を流す水路を創り,外水氾濫による家屋浸水被害 を解消する目的で,平成 18 年 10 月から平成 23 年 6 月(出水期前)までの完成を目標に,川内川 流域内で最大の被害を被った市街部の下流側(図 1)で,築堤,河道掘削,分水路開削を行って整 備された(川内川河川事務所ホームページ)もの である.事業量は,延長約 250 m,底幅約 65 m, 掘削約 70 万 m3(内訳は土砂掘削が約 50 万 m3, 岩掘削が約 20 万 m3)である. 当該激特事業では,特に短期間かつ大規模な 川の形状などの改変が伴うことから,そこに生息 している両生類,爬虫類,哺乳類,鳥類などの動 物の移動経路の分断などが危惧された.そこで, 学識者で構成された「川内川激特事業環境影響検 討委員会」が設置され,同委員会における助言や 環境配慮事項等の保全措置に基づいた工事が行わ れた. ここでは整備工事終了後,約 2 年間が経過し た推込分水路について,これまでに実施してきた モニタリング調査および河川水辺の国勢調査の結 果も踏まえて,確認種の状況からの同分水路にお ける環境の現状評価と委員会で協議された環境保 全措置等の結果について報告する.