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徳之島における希少種リュウキュウテングコウモリ Murina ryukyuana の生態

船越公威・北之口卓志・田中広音・大坪将平・大平理紗・内原愛美

Abstract / Introduction / Summary:

リュウキュウテングコウモリ Murina ryukyuana は,沖縄島北部のヤンバルの森林で 1996 年に発 見され,同時に発見されたヤンバルホオヒゲコウ モリ Myotis yanbarensis とともに新種記載されて いる(Maeda and Matsumura, 1998).リュウキュ ウテングコウモリは,日本の固有種で沖縄島のほ か奄美大島および徳之島(前田,2000)にも生息 しており,前腕長 32–37 mm(前田ほか,2001; Kawai, 2005)で,近縁のコテングコウモリ(前 腕長 29–34 mm)に比べて少し大きい(図 1).名 前から連想されるように,鼻孔は筒状に外側前方 へ突出していて,嗅覚が鋭いことを示唆している. また,比較的長い黒褐色の体毛を密生し,それは 尾膜にも及んでいる.樹洞や枯葉等を昼間のねぐ らとして利用しているようであるが不明な点が多 く,生態に関しては本格的な調査がなされていな い.そこで,本調査では,主にアカメガシワトラッ プ法(船越ほか,2009)による調査を行い,リュ ウキュウテングコウモリのねぐらの利用状況,繁 殖生態および社会の特性を明らかにすることを目 的とした.