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鹿児島市慈眼寺公園におけるアリの種構成と優占種

松村周平・山根正気

Abstract / Introduction / Summary:

鹿児島県では本土に約 110 種,離島を含めると 145 種前後のアリが生息している(山根ほか, 1999,2010).南九州の潜在植生である照葉樹林 は多様な動植物の生息地となっており,アリ相(と くに土中性種)も豊富であると考えられる.照葉 樹二次林のアリ相は,鹿児島県本土では,鹿児島 市の鹿児島大学寺山自然教育施設(川原ほか , 1999),鹿児島大学郡元キャンパス植物園(柚木, 2001),鹿児島市桜島(原田ほか,2008),日置市 城山公園(原田ほか,2008),薩摩川内市少年自 然の家(東郷,1998),薩摩川内市藺牟田池周辺(原 田ほか,2006),紫尾山(原田ほか,2011),甑島 (原田,1997),屋久島(原田ほか,2009),種子 島(原田ほか,2009)などで調査されてきた.こ のような研究を通じて,南九州における低地照葉 樹林のアリ群集がもつ特徴がかなり明らかになっ てきた. 本研究の調査地である鹿児島市慈眼寺公園は, 住宅地に面しているものの,良好な照葉樹林が残 されている.本研究では,慈眼寺公園のアリ相を 解明し,先行研究の結果と比較することにより, 照葉樹林のアリ群集の特徴をより明確にすること を試みた.