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鹿児島県産ニホンノウサギの生態と保全について

船越公威・西峯吉紀

Abstract / Introduction / Summary:

ニホンノウサギLepus brachyurus は日本の固有 種である(山田,1996; Yamada, 2009).世界のノ ウサギ属と比べると,四肢,尻尾,耳の長さが比 較的短く,体重も軽い小型の種に属する.本種は 本州,四国,九州およびそれらの属島に分布して おり,海岸地帯から農耕地,林野,牧草地,山岳 地帯などに広く生息している.特に,食物となる 植物が豊富で,また隠れ場所の多い林や草原を好 んでいる.鹿児島では春や秋にも交尾期があり, ほぼ一年中繁殖する(谷口,1986).そこで本研 究では,野外で自動撮影装置を利用して,鹿児島 県下のニホンノウサギ(以下,ノウサギ)の季節 的活動変化を調べた.また,最近の鹿児島県大隅・ 姶良・伊佐南薩地域振興局の「道路パトロール日 誌」に記載されているノウサギの交通事故死亡 (ロードキル)個体を記録し,鹿児島県環境林務 部から公表されているノウサギの捕獲状況に関す る資料を入手して,これらの資料とノウサギの活 動パターンとの関連性を検討し,ノウサギの保全 と管理について考察した.