奄美大島と徳之島に生息する大型のアカガエル 属のカエルは,奄美大島・徳之島・沖縄島・石垣 島・西表島の琉球諸島中央部に固有の数種が一括 された状態で, 種名 ハナサキガエルとして記載さ れていた. 1994 年に松井により , 奄美大島産・ 徳之島産はアマミハナサキガエル,沖縄島産はハ ナサキガエル,石垣島・西表島産はオオハナサキ ガエルとコガタハナサキガエルとして地域別の独 立種として分割された経緯がある. 奄美大島と徳之島に生息する従来のハナサキガ エル (1994 年以前 ) についての一般的記載として は,中村・上野(1963),千石(1979),鮫島(1985), 鮫島(1986),鮫島(1993),当山ら(1989),森 田(1989),前田・松井(1989)があり,分布、 形態・生態などの詳細な記録がある . さらに,ア マミハナサキガエルについては,Matsui(1994), 環境庁(2000),太田(2003)がある. アマミハナサキガエル Rana amamiensis は,奄 美諸島の奄美大島と徳之島の山地渓流付近に生息 する大型のカエルである.スマートな体型をした カエルで足が長く,強い跳躍力を持っている.分 布が奄美大島と徳之島の 2 島嶼に限られ,固有種 であるにもかかわらず,近年の人間社会の諸開発 により森林や草原の消滅・改変により生息域に縮 小傾向が認められている. わが国では幅広い野生生物保護への取り組みと して,レッドデータブックが刊行されている.ア マミハナサキガエルは現在(2011 年 3 月),環境 省カテゴリー(環境庁,2000)で絶滅危惧 II 類 (VU),鹿児島県カテゴリー(太田,2003)で絶 滅危惧 II 類に掲載され,絶滅が危惧されている 動物である. 本種は,中琉球固有の系統を形成しており,こ の地域と外部との古地理学関係を考える材料とし て,また奄美諸島と沖縄諸島の間での陸生生物相 の隔離の歴史を考える上で,高い学術的価値が認 められる.2011 年 3 月 22 日鹿児島県文化財保護 審議会により,鹿児島県指定の天然記念物に新し く加え,その保護・保存をはかることになった.

鹿児島県指定天然記念物に追加されるアマミハナサキガエル(鮫島正道)