「万之瀬川河口干潟」保護への歩み(柳田一郎)
平成19 年5 月27 日,日本環境教育学会・鳥 取大会において,万之瀬川河口の天然記念物指定 の経過について発表しました.約14 年にわたる 経過は,各地で活動している人々の関心を集め, この14 年を支えた力についての興味が高まりま した.私は,なぜこのようなことができたのかと いう質問に,「焦らず,騒がず,みんなが真剣に 力を合わせて,できることをしたから」と答えま した. 水害防止のための河川改修ができなくなる,と いう誤解もあったとも聞きました.しかし,大水 害を経験した土地に,防災工事は不可欠であると 思いました.私は,かつて土木事務所に勤務し, 日本の土木技術にできないことは無いと信じてい ます.そして,現地には「親水」とは一味違う考 え方で,人も生物も共に守る堤防ができました. 今年にはいると,吹上浜県立自然公園の公園計画 変更への動きも始まりました.これは,現地で暮 らし,現地に関わる人々が,人間生活の保護と生 物の保護を真剣に考え,柔軟な発想による懸命の 工夫を行った官民協働の成果であると思います. 私は,近い将来,「限界集落」を克服するため の地域間の生存競争(サバイバル)において,地 域資源,中でも自然資源は,最後の切り札になる と思っています.